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サイドストーリー

青島今昔 〜その6〜

今回は、スーパースペシャルファンタスティックなライターをお迎えしてお届けいたします!!

青島ナビでは宮崎交通の資料編纂室のご協力のもと、貴重な資料をお借りし「古き良き青島」を不定期で発信していますが!!雰囲気でごまかしています。

この度、社会学を本気の!!研究者さんとご縁があり寄稿をお願いいたしました!雰囲気 だけではありません!!!記された内容は綿密に調査されています。

本編ぜひ!!!お楽しみください!!!

青島の海開きと仲矢勝好のポスター
長谷川 司

宮崎の夏を告げるのが、青島の海開きである。

宮崎交通資料編纂室には、7枚のポスターが残されている。1956(昭和31)年から1964(昭和39)年にかけてのポ スター「青島」である。宮崎市と宮崎交通が開設した青島海水浴場のポスターだ。

後援は、宮崎県観光協会、宮崎市観光協会、国鉄の鹿児島鉄道管理局となっている。海開きの期間と「納涼 バス」の案内がある。車内に赤いほおづき提灯をつけた納涼バスは、宮崎県庁本館近くの県公会堂を出発、 夜の 青島へ夕涼みに向かう。宮崎交通の夏の人気企画であった。

レトロモダンな「青島」の文字は、古くも新しい印象を与える。海辺にパラソルが立ち、いくつもの三角旗 がそよぐ。腕を上げる女性が誘う。そばの揃いの水着は彼女の娘だろう。


「青島」1956年 *宮崎交通資料編纂室所蔵

小麦色の若い男女が開放的に身を弾ませる。水しぶきを上げはしゃぐ子供たちが駆け寄ってくる。


「青島」1957年 *宮崎交通資料編纂室所蔵


「青島」1958年 *宮崎交通資料編纂室所蔵


「青島」1959年 *宮崎交通資料編纂室所蔵

女性がかぶるのは、青島のビロー樹でつくった帽子、シャインハット。初夏の街角に色鮮やかなポスターが掲示された。


「青島」1960年 *宮崎交通資料編纂室所蔵

宮崎交通の制作室長、仲矢勝好[なかや・かつよし 1927-1992]によるデザインである。 制作室とは、宮崎交通のアトリエで、看板や団体旅行の誘導プラカードを作り、催事の舞台美術や広告などのグラフィック・デザインをおこなう部署である。


「青島」1963年 *宮崎交通資料編纂室所蔵

勝好は、宮崎のイメージに形を与えた人である。1960年代から70年代は、宮崎観光の全盛期であった。画家の勝好は、映画館の看板絵師を経て1948(昭和23)年に宮崎交通に入社、その絵筆で数々の広告のカットを描き、観光ポスターを制作した。


「青島」1964年 *宮崎交通資料編纂室所蔵

仲矢のポスター「青島」には、色彩、確かなデッサンと整った構成の妙がある。
夏の青島を舞台にした物語の予告映像のようなストーリー性が感じられる。

長谷川 司さん

専門は、観光の社会学。研究者・大学非常勤教員。
主に、観光現象の考察をもとに地域社会の近代について研究しています。

兵庫県出身、宮崎市の大学を卒業後、関西の大学院に在籍、宮崎観光の歴史をテーマにした学位論文を提出しました。主に、青島や日南海岸、観光と地域社会、地域のもつイメージ(表象)に関心があります。

熱帯情緒豊かな「南国」、日本神話ゆかりの「聖地」という2つの観光イメージについて、宮崎県で開催された地方博覧会、絵はがきや映画などの資料をもとに考察してきました。

近年は、昭和戦前戦後の宮崎交通の定期観光バスの歴史とバスガイドの「語り」の変遷についても調査しています。